- インタビュー前。机に置いてある新装版『クローズ』の表紙を見て……
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松永:おおー、新装版の新しい表紙みるとアガるよね。Rはコンビニでも新しい廉価版が出ればとりあえず買ってるよね(笑)
R-指定:太いやつね、買ってまうっすよね。
松永:とりあえずもう一回読んでおいた方がいいな、みたいな(笑)。
R-指定:ですね。全部知ってるから(笑)
松永:男ならみんな憧れる漫画だからなー。
R-指定:ヒップホップの中でも歌詞に登場することが多いですね。それこそ「THA BLUE HERB/ COAST 2 COAST 2」や、「ICE BAHN/ IB法」の歌詞の中にも出てくるし。
松永:いろんな人たちが『クローズ』『WORST』をリスペクトしてるよな。
- そうなんですね。
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R-指定:ライブハウスでも、多くのところで『クローズ』の単行本が置いてあるよね。街の床屋の『ゴルゴ』みたいに(笑)。たぶん誰かが買って置いていったのを、他の誰かがちょっとずつ足していったみたいな感じなのかも。揃ってると「お、全巻有るじゃん! リハやってる場合じゃないな、全巻読んでからだな」みたいな気分になるよ(笑)
- それでは改めまして、本日はよろしくお願い致します。『クローズ』も連載開始から30周年を迎えました。その記念のインタビューとして、本日は「Creepy Nuts」のお二人に、いろいろお話をお伺いできればと思いますので、よろしくお願い致します。
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松永:え? もう30周年なの?
R-指定:ということは、1990年からの連載か!
松永:タメじゃん、俺!(笑)。俺と『クローズ』と浅田真央はタメじゃん!
R-指定:どこと並べてんねん(笑) 松永さんがダントツで弱い、格落ち感ハンパない(笑)。
松永:確かにリアルタイムってよりは追っかけで読んだ作品になるけど、このカッコよさは別格だよね。それまでの不良漫画とは違ったよな。
- そうですね、不良漫画の歴史を簡単に俯瞰しますと、1970年代は「番長もの」の時代ですね。全国制覇とか、誰が日本の不良を束ねるとか、硬派でした。1980年代後半になると、リアルな不良像が描かれるようになり、「番長」とか「全国制覇」よりは、その生態や個々のケンカや上下関係が描かれるようになり、軟派な世界観も不良の日常になりました。一種の青春グラフティーですね。
そしてその末期ともいえる1990年代前半に『クローズ』が登場しました。主人公・坊屋春道のアウトロー像や、まとまりのない「鈴蘭男子高校」、そしてキャラクターたちの自由かつロックなスタイルがクローズアップされ、大人気漫画となりました。そして『WORST』では、一周回ってまた「番長もの」もの回帰していきます。そして今日に至る、といった感じですかね。 -
松永:なるほど。そう言えば『WORST』見たときは驚いたね、みんな柄シャツ着てウォレットチェーン付けてた(笑)。
R-指定:そうそう、スタイリッシュ(笑)。
松永:『WORST』の時の鈴蘭って、みんな学ラン着てないもんな。『クローズ』の第1巻読み返して、懐かしい気分になったことを思い出したわ。あの頃はまだ学ラン着てるヤツも少なくなかった(笑)。
- 『クローズ』との出会いはいつごろなんですか?
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松永:俺はね、地元の友だちが漫画好きが多くて。『特攻の拓』とか『はじめの一歩』、『グラップラー刃牙』とかね、男臭い漫画がスゲー流行ってた。『K-1』とか『PRIDE』とかの格闘技も流行ってて、グローブ買ってきて、みんなでボクシングなんかして遊んでた。俺はやらなかったけど(笑)。そういう流れの中で、みんなが『クローズ』の話をしてたんだよな。だから『え? それ何?』って聞いたら、コバが『お前も読めよ』って、大きな袋に全巻入れて持ってきてくれたんだよ。
R-指定:待て待て、「コバ」って誰やねん(笑)。
松永:俺に『クローズ』を教えてくれた友達だよ(笑)。コバは一本筋が通ってて、本当にプロボクサーになった。
R-指定:じゃあもう龍信やん。
松永:彼は漫画に影響されやすいタチで、映画『ロッキー』みた翌日には生卵持ってきてみんなの前で割って丸呑みしてみたり、常にクルミをカチャカチャさせて、全校集会中もカチャカチャさせて(笑)。授業中に腕立て始めたりしてね。トレーニングしてる感をみんなにアピールしたいから、登校中に野菜ジュースや飲むヨーグルトなんかを必ず飲みながら学校にきてたな(笑)。
R-指定:コバ・・・
松永:まーまー。お年玉で買った「Supreme」のカバンをストープの上に置いて溶かしたのも、この「コバ」だ。
R-指定:「コバ」最低〜。ヤカンやないねんから(笑)
松永:さらに俺の給食の牛乳を奪って逃げたのもコバ。俺は必死で追いかけたよ、学校中を走って。
R-指定:うわ―松永さん、完全に「ヤス」やん。コバが亜久津で松永さんがヤス。
松永:あら、完全にその関係性だな(笑)。そういえば、やっぱコバに、休み時間にカバンをベランダに投げられて、取りに行ったところをカギ閉められて、授業中ずっと空を眺めてたらメッチャ先生に怒られたわ(笑)。まぁそんな流れの中で、彼が『クローズ』を教えてくれたんだな(笑)。で、今でも一緒に飲んだりするんだけど、「コバ」は必ず「タナベ」とケンカになるんだよ。
R-指定:誰やねん「タナベ」って(笑)
松永:いや、この「タナベ」がね、高校3年の時に青いスカジャンを着てたのよ。しかも一瞬、金髪でリーゼントっぽくしてた時もあったな。で、ほら、「マスダ」っているじゃん。
R-指定:まぁ知ってるけど・・・(笑)
松永:いやいや、この「マスダ」こそ、俺の中では結構「春道」的だったんだよね。
R-指定:へーカッコイイ!
松永:地元のディスカウントストアで「パルコ・アンド・デンシャラーズ」のマグカップとか、「武装戦線」のフラッグとかを買って部屋に飾ったりしてる同級生もいたね。あと俺の親は厳しくて、仲間と遊んでると一人だけ途中で帰るんだけど、その時みんなが「何だ、頭からの呼び出しか?」ってからかうわけ。それで俺の母親についたアダ名が「武装の頭」(笑)。今でも地元に変えると「武装元気?」って、意味もなく母ちゃんのこと聞かれるわ(笑)
R-指定:マジか(笑)。でもそれは母ちゃんが何代目かによるな。3代目はちょっとダサいから(笑)。でも「武装」なら、招集は無視できないなぁ(笑)。考えてみれば、おれは松永さんみたいに、地元の仲間と『クローズ』の情報は共有してなかったよ。
松永:そうなの? じゃあどうしてたの?
R-指定:俺はバスケ部やったから共有する漫画はバスケ漫画やったんすよ。学校にはきちんとヤンキーもいたけど、ほぼ接点はなくて。何人か挟んでの知り合いというか。それで中学2年くらいから、そういうヤンチャな人たちが学校に来なくなった。
松永:本当に凄いヤツラって、学校こなくなっちゃうもんな(笑)。ってか大阪のヤンキーってさ、割と古風だよな?
R-指定:確かに・・・。すごいヤツラがいなくなってから、ツッパリ始めた人も何人かいたけど、それが案外クラッシックスタイルで、鬼ゾリにリーゼントみたいな。
松永:俺の地元だと「マスダ」だけだったもんな、オールドスタイルは。高校生の時にホムペをリンクで飛びまくっていたら大阪のヤンキーのページに辿り着いた事があったんだけど、全員古風でド派手だったからめちゃくちゃ衝撃を受けたの覚えてる。
R-指定:そうそう、派手。俺らの学年はなぜか仲良かったすけど、その上の年代は恐怖政治やった。中1のときに、授業中に教室のドアが開いたと思ったら、いきなり3年生が入ってきて。何してんのかと思ったら、「生意気なやつがいないか見張りに来た」みたいな。俺らの学年ではすごいヤツラがいなくなってからは平和やったけど、当時いなくなったヤツラと、その後にクラブで会うなんてことがたまにありました。ある意味では、俺と違ってまっすぐなルートから入ってきてる(笑)。不良からきちんとラップやレゲエに興味を持って、そこに行き着いたみたいな人がね。「お前、同じ中学やったやんな?」って。
松永:なるほどー。
R-指定:俺が仲良かったのは部活の連中やったんで、『クローズ』も読んでたやろうけど、話題には上がらんかったっすね。俺の中でも、そういう不良文化に触れるのはちょっとハードルが高かったし。普通にビビってたし……学校の便所にいったらなぜかペンキの匂いがするとか、部活の仲間が練習中に呼び出されるとか。ただ、怖いけど、だからこそ憧れたというか、どこかで気になってたと言うか……今考えるとそう思う。自分がそれを認められたのは、20歳くらいになってからやけど。彼らがいなかったら、ちょっと物足りない学校生活になってたかも知れない。だからヤンキー漫画とかも気がつけば読んでたし、これだけ不良のことを考えてるってことは、実はヤンキー好きやったんやなって思った。
松永:うーん……それは「恋」だな(笑)。
R-指定:マジか、「恋」か(笑)。思い起こせば自分の周りにはそういうモノが溢れてた。今でも覚えてるけど、ゼットンが九里虎に負けたような、年下に負ける悲哀……学校帰りに年上の強い先輩が、俺らのタメのヤツに負けたとことか目撃したり・・・
松永:うわー、ショッキングだなー。
R-指定:言葉が出んかった、、切なくて。勝負の厳しさを思い知りました。あと、俺らよりもっと上の世代の人は「学校生活を健全に送るためには、不良になるしかなかった」みたいな話をしてましたよね(笑)
松永:そうそう、何か俺らより10コ以上の年代は、普通にみんなウッスラと不良っぽいスタイルの人が多いイメージあるわ。
R-指定:それで、自分が時代の変わり目にいたのかなって思ったのは、高校に進学した時。各中学のヤンチャな奴らがみんなマイルドヤンキーっていうか、ホスト風になってたんすよね。
松永:俺らの時代はそれが普通だったかもな。お兄系みたいなのが主流になった。中学のときからそんな傾向があったよ。
R-指定:早いな、新潟(笑)
松永:いや、やっぱり大阪が古風なんだよ。文化的にクラシックスタイルなんだろうね。
R-指定:高校ではホスト風なヤツが多かったけど、地元に戻ると基本クラシックスタイルやった。でも考えてみれば、「だんじり祭り」と関係があるのかも、そのスタイルには。
松永:あー、それだ、多分。
R-指定:やっぱり、祭りとクラッシックスタイルは関係が深いかも。例えば祭りのときにはみんな弾けて、普通の奴がモヒカンとか金髪にして参加してたし。で祭りが終わったらボウズ頭にしてまた学校行くみたいな。あの祭りの高揚感と、ヤンキースタイルの女の子には、ホンマドキドキしたな(笑)。不良の世界は関係ないって思いつつも、祭りのワクワクは堪らんかった。
松永:俺も祭りは行ったけど、高揚感よりは「知らないヤンキーに絡まれないかな」みたいな気持ちの方が強かったかも。
- 俗説ですが、大阪の「アメリカ村」から「ヤンキー」って言葉が生まれたって話があります。本場アメリカになぞらえて、そここにいた不良たちをそう呼んだという。
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R-指定:へぇー、そうなんすね。確かにね、妙に納得するかも。高校生の時に初めて行ったけど、怖かったもんな・・・。そうそう、これは面白い想い出なんだけど……。
松永:なになに?
R-指定:中学のころ、隣の中学にアンタッチャブルで有名な兄弟がいたんすよ。『クローズ』にいてもおかしくないような兄弟。その弟の方が俺らと同じ世代で。小学校のときに、すでにゲーセンのパンチングマシンをすべて破壊したという伝説もあって(笑)。俺らの小学校で一番強いヤツも一撃でやられたようなツワモノ。
- それは怖いですね(笑)
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R-指定:中1の頃、部活の仲間で市民プールに行った時にヤンキー事情に詳しいヤツが急に「えー、今日は帰ろうか」って言い出して。「どしたん?」って聞いたら、「あそこにアンタッチャブルの兄弟の弟がおるわ」って。見たら、プールベンチで仰向けに寝転がりながら、両脇には女の子(笑)。中1っすよ?(笑)
松永:うわー、それはやばいね(笑)
R-指定:「スゲー!」ってその場は終わったんすけど、俺が高校2年になってクラブに出入りするようになった時に、友達とコンビニでダベってたら黒いパーカーを羽織った男が近づいてきて、それで「お前、○○中のヤツやな」って。「そうですけど」って答えると「多分、お前同い年やで。俺は○○っていうねん。」って言ってフードを取ったんすよ。そしたら、プールサイドで見た顔やった(笑)。うわっと思ったけど「え……何してるん?」って聞いたら「俺もラップやってんねん」って。交わることがないと思ってた人間と、そこで接点ができたんすよ。
松永:あー、彼か! そう言えばイベントにも呼ばれたな。彼はそんな凄かったんだ(笑)
R-指定:その兄弟は二人共ラッパーになりましたから、この世界、面白いなって思いました。
松永:大阪って、ヤンキーとラップの親和性が高いよね。
R-指定:俺らの世代はマジで、ヤンキーとレゲエ、ラップっイコールなんっすよね。例えば音楽に何の興味がなくても、ヤンキーだったらレゲエは絶対知ってるみたいな。
松永:マジかー、新潟は全然違ったな。
R-指定:ウソ!? じゃあ何 やったんすか?
松永:新潟のヤンキーは、みんな「ザイル」と「ケミ」な(笑)。
R-指定:マジかー(笑)
松永:その辺の流行には、時代もあるけど地域差もあるんだな。レゲエとかは少数派だったよ。
R-指定:俺の考察では「だんじり祭り」と「レゲエ」の親和性が高かったんっすよ、多分。
松永:「だんじり」は外せないんだ(笑)。大阪は音楽の文化は進んでるのかな。全国的に見た時に大阪はレゲエもヒップホップも強いじゃん。そういうモノが、流行り始めから根付いてる感じ? 俺の地元とかはそういうものが入りにくいから、どうしてもメジャーなところが流行る感じだよね。
- 話は変わりますが、作品の中で印象に残っているシーンはありますか?
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R-指定:ちょっと自分と重ねてしまったのは、阪東がヒロミをバンドに誘うシーンっすね。
松永:おー、あれメッチャいいよな!
R-指定:最高やんな! 阪東とヒロミやからきっとロックかパンクなんやろうけど、俺らと近い世界線にある感じがたまらんすね。きっと時代が今なら、ヒップホップとかレゲエになるんかなぁと思ったり。とにかく「バンドに誘う」ってことがかっこよくて。現実にいるグループなんかでも、こんなドラマがあったんじゃないかな、と想像するとそれもまた楽しい。
松永:たまらないよな。俺が印象的だったのは、河内鉄生が死んだ時だね。確か中学生の時、朝一番に友達が教室に「鉄生が死んだー!!」って叫びながら走ってきたんだよ。それ聞いた時、本当にショックだったよね、まさか死ぬと思ってなかったから。
R-指定:あの頃の鉄生は無敵感あったからな。あとあれっすね、これは具体的なシーンではないんだけど、敵対してたヤツがそいつを居ない場所で褒めるってシチュエーションね、あれが凄く好き。
松永:わかるわ、パルコ・アンド・デンジャラースの決戦の時に、龍信が美藤に「そんなヤワじゃねー」みたないな言葉をつぶやくとことかね、いいよな。
R-指定:褒めのシーンだけ集めて見てみたいよな、褒めメガミックス(笑)。そう言えば、亜久津が唯一男を上げたシーンもあったっすよね。鳳仙と鈴蘭の最初の激突。鳳仙の幹部から「あいつ気合はいってんな」みたいに言われるところ。あの亜久津が注目を浴びてるなんて、最初から読んでたらグッと来ますよ(笑)
松永:亜久津だもんな、まず褒められるなんてことがないキャラだよ(笑)。そうそう、ゼットンの登場もインパクトあったな。最初は「何、この変なヤツ」って思ってた。登場時に上級生を倒してたけど、龍信とか美藤とかかっこいいキャラが増えてきたところで、ゼットンのビジュアル……違和感しか感じなかったよ。それがだんだんカッコ良くなっていって、『WORST』の時には最高にかっこよくなってた(笑)。まぁでも登場時に上級生を倒したことが、後に年下の九里虎に倒されることを運命づけてたのかもしれないね。
- 今度、『月刊少年チャンピオン』誌上で、ゼットンのスピンオフ作品が始まるんですよ。ゼットンが先生になって帰ってくるという……。
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松永:ウソ、ヤバ! 先生になれたんだ! 「ヤンキー先生、母校に帰る」じゃん!
R-指定:ヤバい、熱い!
松永:やっぱり鈴蘭の先生になるんかな?
- いや、そこを目指してまずは他の学校の先生になる感じですかね。
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R-指定:早く読みたいすねー! 俺、今「WORST外伝 グリコ」も読んでるけど、あれも面白いんすよ。グリコの中学時代の話。
- 「WORST外伝 ドクロ」も、鉄生が主役のスピンオフです。今、別冊少年チャンピオンで連載してますよ。
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松永:おー、それは見ないといかんね
松永:考えてみればヒップホップシーンって、音楽界の鈴蘭って感じだよな。
R-指定:マジでまとまらへんもんなー。まぁ、まとまらない良さがあるんすけど。イメージ的にはやはり般若さんが坊屋春道かな。
松永:あー、あの人は正しく春道だよね、本当にそう思うわ。ジブさんは?
R-指定:ジブさんは……桂木さんかなぁ(笑)
松永:もらいタバコの桂木先輩(笑)
松永:般若さんが春道ってのは間違いないよな。般若さん春道、R指定は……ヤスかな。
R-指定:ふざけんなよ!(笑)じゃぁ、お前は邦彦な!天地軍団の!
松永:マジか、そう来たか(笑)。確かに自分と同じ名前のヤツ出てこないかなと思ってたら、登場したのが蓑月邦彦、最悪(笑)。仲間からも嫌われて、いいヤツにならないで終わったもんな(笑)でもお前がヤスなのも間違いない。
R-指定:いやいや、ラップの力をケンカの強さに変換して考えんと・・・そうなると俺は…………まぁ九里虎か。
松永:わはは、ふざけんなよ(笑)。リアルヤスでも夢を語るのは悪いことじゃねーけど(笑)。
R-指定:じゃあ、松永さんは何よ?
松永:俺は…………龍信かなぁ。
R-指定:どこが?(笑)
松永:セリフに使われてるフォントかな、淡古印(笑)
R-指定:いや、邦彦か九能でも秀臣や!
松永:あー、馴染むね(笑)。まぁ冗談は置いといて、マジで言ったら、R-指定は月島花じゃない? 不良ではなく喧嘩めっちゃ強いってのが、そのままHIPHOPシーンに置き換えられる。
R-指定:マジで? うれしいなぁ(笑)
松永:Rがバトルに出てきた勝ち上がってきたころ、不良ラッパーに「あいつは本物じゃね―」みたいなこと沢山言われてきたじゃん?でもそれを実力でねじ伏せたんだから、やっぱり花だよ。
R-指定:それを言ったら、松永さんは武装系? この道一本に筋通してきたっていうか。
松永:学校辞めてるから(笑)?
R-指定:あれ? 学校辞めてるとか、松永さんめっちゃ不良やん(笑)。
松永:アホか(笑)。不良以外も辞められるんだよ、学校は(笑)。
R-指定:まぁ・・・藤代拓海かな、学校辞めてるし。
松永:お、いいねー!
R-指定:でも拓海はめっちゃイケメンやからなぁ。そこは納得いかんなぁ。
松永:うーん、拓海か……参ったね。シックリ来ちゃったね。
R-指定:いや、寅之助やな(笑)
松永:全然うれしくねーなー(笑)。ってか、俺らはヤスと寅のユニットってこと?弱いな―(笑)。
- 最後になるんですが、読者の皆さんにメセージをいただけますか?
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R-指定:そうですね、ヤンキーとヒップホップは切っても切り離せない関係にあるんで、ヤンキー漫画が好きなら、ヒップホップも馴染めるかなと。
松永:そうだね。あと格闘技もそうだったりするのかな。人とナリ、その人たちの関係性とか因縁とか、バックボーンも含めて楽しめるものだから。
R-指定:そういう意味では「最強より最高」ってことかね。
松永:そうね、結局、ヒップホップも人間性が決め手になるし、ヤンキー漫画って言っても、人気のキャラは強さを越えたところに魅力があるっていうか、生き様ね。そんなわけで、『クローズ』も『Creepy Nuts』も、今後とも宜しくお願い致します。
R-指定:まとめた(笑)。
Creepy Nuts
(R-指定&DJ 松永)
MCバトル日本一のラッパー「R-指定」とDJバトル世界一のDJ、「DJ 松永」による1MC1DJのHIP HOPユニット。業界屈指のスキルを持つこの2人だからこそ実現できる唯一無二のライブパフォーマンスは必見。
これまでにリリースされたMINI ALBUM「たりないふたり」、「助演男優賞」はスマッシュヒットを記録。テレビや雑誌を始め、数多くのメディアにも取り上げられ、話題に事欠かない。LIVEでは、クラブやライブハウスから大型ロックフェスまで、シーンを問わず数多くの観客を魅了している。
DJ 松永(写真左)
新潟県出身、東京都在住。DJ、トラックメイカー、ターンテーブリスト。「TOC」の専属DJとして活動中。
過去にターンテーブリストとして、DMC JAPAN FINALへの出場も経験。プロデュースワークでは、サイプレス上野とロベルト吉野、KEN THE 390、鬼、晋平太などにトラック提供を行っている。2019年に行われた「DMC JAPAN 2019」で優勝。日本一になった後、世界一まで上り詰めている。
R-指定(写真右)
大阪府堺市出身のラッパー。中1で日本語ラップと出会い、中2からリリックを書き始める。
日本最高峰のMCバトルULTIMATE MC BATTLE(以下UMB)大阪大会にて5連覇。全国大会UMB GRANDCHAMPIONSHIPで2012〜2014年まで全国3連覇。MCバトルの戦歴からは想像できないほど内向的で卑屈、HIP-HOPとはあまりにもかけ離れたバックボーンとパーソナリティー故に生まれた強烈な劣等感を創作/表現活動の源としている。