相当に感情移入をして読んでいた記憶があります。稲垣啓太

本日はよろしくお願いいたします……なんか、稲垣さんを前にすると、まるでリンダマンといるような気分になります(笑)

稲垣:そうですか、ありがとうございます。以前、SNSにライダースを着た写真を投アップしたら、やはり同じことを言われました(笑)。他の人から見ると、そういうイメージなのかもしれませんね。

やはり肉体のスケール感といいますか、前に立たせていただくとよくわかりますが、これは街ナカで睨まれたら「ああ、逃げられないな……」って思いますよ(笑)。

稲垣:迫力があるって意味では、嬉しいですね(笑)。

今日は武装の格好での撮影でしたが、武装なら三代目の核弾頭・玄場、六代目の難波といった感じでしょうか。でもやはり存在感的にはリンダマンが一番ふさわしいと思います。ところで『クローズ』を初めて読んだのは、いつ頃なんですか?

稲垣:初めて読んだのは高校の部室ですね。いやー、部活のみんなでハマりましたよね(笑)。授業中も教科書のように読んでましたし(笑)。自分の周りはヤンチャなヤツも多かったですから、当時は自分らと重ね合わせるような感じで読んでいたんじゃないかな。相当に感情移入をして読んでいた記憶があります。

中学時代から周りはヤンチャだったんですか?

稲垣:そうですねー、お行儀良かったとは言えないかな(笑)。中学時代は野球部だったんで、きちんと練習とか、やることはやって、遊ぶ時は遊ぶというスタイルでした。ガタイも中学1年の冬には、今と変わらないほどになってました。

中学でその体格は凄すぎます!

稲垣:逆を言えば、そこから伸びなかったんですけどね(笑)。

そうなると、トラブルに巻き込まれるようなことも少なかったんじゃないですか?

稲垣:そうでもないんですよ。このガタイですから、ちょっと目立つじゃないですか。自分からケンカを売ることは100%なかったですけどね(笑)。

なるほど(笑)。高校の部室に『クローズ』が置かれているのも納得です。

稲垣:脈々と受け継がれていましたね。僕は工業高校に通っていましたが、自然とそういう、気合の入った人種が集まってきた気がします。うちの高校はスポーツでも有名でしたし、特にラグビー部はそうでしたね。競技の性質上ってこともあるんでしょうが、やっぱり闘争心とか負けん気とかが強い人間が集まります。うちのラグビー部の強さの根底には、そういう心根の部分も多々あったのではないかと思います。

持て余した気合を試合で爆発させるかのような。

稲垣:少なくとも、根性だけはどこにも負けなかったんじゃないですかね。そういう気持ちの強い人材が集まってました。気持ちの強い人間は、やはり伸び方が一味違いましたよね。

ちょっと話はズレちゃいますが、ラグビー選手は下半身、特にフクラハギが太いですよね。その分足首が細く見えるんですが、実は足首も全然細くない(笑)。

稲垣:そうですね。鍛えてるんで、下半身は本当に太いですよ。

例えばケンカになったとしても、ますマウントを取られることはなさそうな気がします。

稲垣:そうかも知れません(笑)。まあ、不意打ちをくらったとしても、マウントを取られることはまずないでしょうね。

『クローズ』は今年で30周年を迎えました。奇しくも稲垣さんと同じ年です。稲垣さんにとって思い出深いキャラといいますか、好きなキャラクターはいらっしゃいますか?

稲垣:何と言っても五代目頭の武田好誠ですね。寡黙な感じでありながら、義理堅い雰囲気が好きです。キングジョーとのタイマンのシーンは特に印象的ですよ。勝敗は語られませんでしたが、おそらく激しいタイマンだったんだろうなと。拳を交えて理解し合って、お互いだけが納得したとうか……周りは関係なく、絆を深めたってところにカッコよさを感じますよね。男らしさを一番感じるキャラですね。僕だったら、名の知れたヤツに勝ったんだから「よっしゃ!」って感じで広めたくもなりますよ(笑)。でも2人は違った。そこがやっぱりかっこいいなと思いました。

甲斐とのエピソードもいいですよね。

稲垣:あれは容赦なかったですね(笑)。『WORST』なってもブレない姿勢は本当に男前だと思います。あと、美藤兄弟の登場シーンも良かったですよね。鳳仙の中で髪が長いから強いんだろうなとは思いましたけど、兄貴の竜也は本当にメチャクチャ強くてインパクトがありました。あと印象的なのはゼットンですよね。初登場の時は「ふざけたキャラが出てきたな」って感じでしたけど、通して読んでもやっぱりふざけたキャラでした(笑)。最初と最後では質が違いましたけどね(笑)。九頭神とのタイマンでは、とてもいい味を出していたと思います。まぁ『クローズ』の最後の方は、どんなキャラでもみんないい味を出していたので面白かったですね。

チームでいうとやはり……

稲垣:武装戦線ですね。最初の頃の三代目武装は全然印象よくないですけど(笑)。龍信だけですよね、いいキャラは。兄貴は二人ともいただけない(笑)。でもいろんな集団があって、鳳仙、黒焚、そして鈴蘭。それぞれが本当に特徴的な集団で面白かったですよ。最後は萬侍帝国……圧倒的な強さでしたね、竜夫は。

あー、イメージで言うと、稲垣さんは九頭神竜夫もあってますね。

稲垣:ファンションでいうと竜夫に近いも知れません。ファームートンのジャケットにワークパンツとか。そういえばリンダマンはコートに迷彩パンツでしたね……あんな学生、いるんですかね?(笑)。

いないんじゃないでしょうか?(笑)

稲垣:ある意味では凄い着こなしですよね、コート、軍パン、ロングブーツにタンクトップ。個性的だと思います。でもリンダマンのカッコよさは、春道との2回目の決闘で発揮されましたよね。激しい戦いの後で、リンダマンが春道を担いで病院に向かって、お互いに言葉はかわさないけど、心の中で別れを告げるシーン……あれもカッコよかったと思います。こういう男臭いシーンは本当に好きです。

今日はいろいろありがとうございました。最後に髙橋先生と読者にメッセージをお願いいたします。

稲垣:『クローズ』30周年、本当におめでとうございます。30年と一口言いますけど、本当に長い年月ですし、その間人気が衰えないなんて、本当に凄いことだと思います。僕はラグビーに打ち込んでいますが、30年できるかと言われたら難しいかも知れません。その偉業を、僕自身が楽しませてもらっていることに感謝です。これからももっとすごい作品を作ってくださると期待しております! 本当におめでとうございます! あと、髙橋先生のファンの皆さん。僕はこの作品にある種の「美学」を感じています。自分の中でブレてはいけないもの、社会や環境がどんなに変化しても、自分の中で変わってはいけないものが、皆さんそれぞれにあると思います。それを大事にして欲しいです。この作品にはそれが詰まっていると思うんです。男臭さとか、信念とか……春道が九頭神竜夫に放った「自分が『カッコわりィ』と思うことをオレはやらねー」というセリフに、いろいろ詰まっていると思います。自分の評価を決めるのは周囲の人間です。これは真実ですが、その中でも自分がどう思うか。ここを大事にして欲しいなと。自分が『クローズ』から学んだことはそれですので、みなさんも是非、この作品を読んでそういう部分を学んでもらいたいなと思います。

ありがとうございました。

稲垣啓太

ポジション:
PR プロップ
身長/体重:
183cm/115kg
生年月日:
1990年6月2日
出身地:
新潟県
出身高校:
新潟工業高校
出身大学:
関東学院大学
キャリア:
日本代表/サンウルブズ
血液型:
A型
ニックネーム:
ガッキー