自分の限界を決めないで、 何でも挑戦してみることの 大事さを、ゼットンは 教えてくれてます(笑)。数原龍友

数原:(「月刊少年チャンピオン」9月号を見ながら)ゼットンが先生か……胸アツですね。ゼットンを見ると彼の同級生たちが浮かんできますね。みんなどうしてるんですかねぇ……。

『クローズ』が本当にお好きなんですね。何か、今日も『クローズ』を読んでて遅れそうになったとお聞きしましたが。

数原:すいません、実はそうなんです(笑)。マジで読んでしまいまして(笑)。

髙橋先生とも親交があるとお聞きしました。

数原:はい、自分は『HiGH&LOW THE WORST』には出演しませんでしたが、歌で携わらせていただいたので、撮影の時にご挨拶させていただき、そこからのご縁なんです。本当に崇拝している漫画家ですので、その時に師匠に『クローズ』の話を始め、いろんなことをお話させていただきました。以前に鳳仙学園誕生のエピソードがアップされてたんですけど、気になりすぎて、思わず師匠(※)に直接聞いちゃいました。そしたら詳細をいろいろ教えてくれまして、それを踏まえて読んだら、また違う迫力を感じましたね(笑)。
※師匠:髙橋ヒロシ先生のニックネーム

そうなんですね(笑)

数原:あと師匠から聞いたお話で印象に残ってるのは、タバコの吸い方の話なんです。武装は特にそうですが、タバコを吸うキャラって、みんな口を覆うようにしてタバコを吸うじゃないですか。「何か印象づけたくてそうしたんだよね」なんて裏話を聞いたときには、ゾクッときましたよね。なんかスゲー話を聞いたちゃった、みたいな(笑)。ただでさえ大好きな漫画なのに、そんな話を師匠から直接聞いちゃったら、更に好きになっちゃいますよね。師匠とのお話は、いつも感動しっぱなしです。

『クローズ』を初めて読んだのはいつ頃なんですか?

数原:僕は音楽の仕事をやる前に焼き鳥屋で働いていたんですけど、その時ですね。店のマスターがこの漫画のどストライク世代だったんです。リアルタイムで読まれていたみたいですが、そのマスターから「おもしろいよ」って勧められまして。読んでみたら、すぐにハマりました。最初はマスターから借りたんですけど……直感的に「これは何度も読むな」と思ったので、すぐに自分で買いに行きました。

『クローズ』は最初から読むと、先生の絵がだんだんスタイリッシュになって行く過程を見ることができますよね。

数原:そうなんです、そこも面白さのひとつですよね。登場人物たちの歴史を感じながら読めるというのは、とても楽しいです。後半に入ったら、もう本当にヤバイですよね。

作中でも特に好きなキャラとかはいらっしゃいますか?

数原:いやー、それがですね……絞れないんです(笑)。いっぱいいるんですよ、実際。龍信、好誠、ブル、キングジョー、P.A.D.のメンバーと、あとゼットン。春道は当然なんですけどね、「推し」って感じで考えると、このあたりのキャラになるんですかね……まぁ、絞りきれないです(笑)。

龍信は結構初期から出てるキャラですね。

数原:それだけに春道と行動を共にすることも少なくなかったキーマンですよね。県南に乗り込んだ話では、どことなく春道を支えている感じもありましたし。何よりも武装のイメージを一新しましたよね。ただのワルの集団から、かっこいい男たちの集団に変わったっていうのが大きいです。ボクシングをやってるのも良かったですよね。絶対に強いですもん(笑)。っていうか、まだ好きなキャラを挙げてる途中なんですけど(笑)

あ、失礼しました。続けてください(笑)。

数原:『WORST』に入ると、花、拓海、軍司……特に軍司ですね、ジャリッパゲからのあの貫禄(笑)。オールバックでヒゲ、これって「絶対強いじゃん! 一年から三年に変わる間に、ここまで仕上がる!?」って驚きまして(笑)。そこからは断然「軍司推し」になりしたね。『クローズ』の時はノーマークだったんですけどね(笑)。あとは光政。鉄生は初登場からずっと推しですね。あとは将五とビスコですかね。

キャラ数が二桁いっちゃいましたね(笑)

数原:仕方ないですよね(笑)。そうそう、鉄生については、師匠からイラストを頂いたんですよ! うちのメンバーの小森が「龍友くん、『クローズ』と『WORST』だったら誰が好きですか?」って、いきなり質問してきて。「ちょっと待って、時間をくれ」って答えて2日くらい熟考してから「鉄生が好きだわ」って答えたんです(笑)。どうやらそれは師匠の探りだったみたいで、師匠がライブに来てくれた時に、誕生日プレゼントってことで俺に鉄生のイラストをくれたんですよ! 白のライダースに「龍」って書いてあって……もう最高ですよね。そんなこともあったので鉄生には深い思い入れがあります。『WORST』にある狂屋とのエピソードも凄く好きですし。

将五と乗り込んでいく話ですね。

数原:将五が友達を助けるために狂屋と揉めて、それを良しとして乗り込んでいく鉄生の心意気がいいですよね。階段に群れるヤツらを「ゥオラ!」の一言で退かして、上がっていくんですけど、その時に将五が兄貴である十三の「信頼できる頭ってーのはな、その人と一緒ならたとえ相手が100人いよーがちっともビビらねーもんなんだよ」って言葉を思い出すんですよね。それで鉄生の株もグンと上がって、とにかく鉄生のかっこいいとこだらけのエピソード……たまらないですね。「そん時はそん時だろ! なー将五」ってセリフも痺れました。

鉄生は本当に青春を駆け抜けたって感じの生き様でしたよね。
数原:メチャクチャな男でしたけど、みんなに慕われてましたし、成長も凄かった。死んでしまったというのが、自分の中でも大きなショックと共に伝説的な存在になる大きな要因でしたね。
先程挙げられたキャラについてなんですが、好誠はいかがですか?

数原:歴代の頭の中でも群を抜いてカッコよかった男だと思います。とにかくカッコよかった。カリスマ性がありすぎましたよね。キングジョーとの決戦も、勝敗はともかく(笑)最高でした。好誠、ジョーを始め新四天王の人間的な繋がりは面白かったです。なんだかんだで強い絆を感じましたよね。『WORST』への橋渡しのキャラたちでもありましたし。

ブルの名前も挙がってますが、ブルも同じ、集団のトップですけど他とは毛色が違いましたよね。

数原:そうですね、かなりの重要人物ですよね。懐が大きいですし。僕は先輩のEXILE TAKAHIROさんに「ブル」ってあだ名を付けられたんですよ。根拠はわかりませんが(笑)。でも……めちゃめちゃ嬉しかったですね(笑)。「あ、ブルか、古川修だな」って思って(笑)。おっとりしてるけど頼りがいがある、いい男ですよね。

『WORST』ではブルみたいなキャラがいないんですよね。強いて言えば花がその役割を担っていたのかもしれないですけど。

数原:花はキャラ設定がすごいですよね。圏外から来た男、野生児ですもんね(笑)。ブルとは違った魅力があります。

キングジョーこと金山丈はいかがですか?

数原:まず登場時に驚きましたよね、「なにコイツ!?」って。今後の展開がさらに熱くなるなって予感をさせてくれたキャラです。実際、いろいろぶち壊しましたしね。美藤秀幸は倒されるし、ブルと対決するし。ヤバイ男でした。ヤバイと言えば、やっぱりパルコ・アンド・デンジャラーズですね!

ドリームチームです(笑)

数原:最初はみんなゴタゴタしていたメンツが、チームを組んだ途端、読者の期待値もヤバイことに(笑)。誰一人、人の言うことなんか聞かない人間たちが組んだワケですからね。エピソードの中でも、一人ひとりが輝いてて、たまらない面白さです。それに反するチーム名のダサさも最高でしたね(笑)。でも不思議なことに、アルファベットの表記のP.A.D.にするとカッコよくなる(笑)。TFOAとかEMODとか、ある種の魔法ですね(笑)。

ゼットンはいかがですか?

数原:彼は『クローズ』を語る上で欠かせない人物ですよね。『クローズ』から『WORST』にかけて、その存在感は春道や花に匹敵する主役級の大きさだと思います。しかも最後、先生になるのが夢だと語る。そのエピソードが9月号から始まるってのもいいですね。どこかで見ることができるのかな、とは思っていましたけど、本当に見れるなんて嬉しいですよ。『WORST』になって鈴蘭を卒業しても、たまに出てくるところも良かったです。受験勉強してるんだなって(笑)。でもあれですよね……鈴蘭当時を知ってる上で、先生として迎えたら、たまらなく嫌ですね(笑)。怒らせたら地獄だな、みたいな(笑)。鈴蘭からの教師への転身は、若さの可能性を教えてくれますよ。自分の限界を決めないで、何でも挑戦してみることの大事さを、ゼットンは教えてくれてます(笑)。

ゼットンは一番変化したキャラかも知れませんね。

数原:あの世代では秀吉ぐらいですよね、最初からビジュアル的にもかっこよかったのは。ゼットンは髪型を含めかなり変わりましたが、僕の中では軍司が一番かっこよくなった男だと思います。雰囲気も含めて肝の座り方から何から、本当に軍司の変わり方は好きですね。そうそう、この世代で言えば、卒業の時のシーンは感動しました。一番そんなこと言わなそうな秀吉が「ありがとな」って一言。秀吉が言うのかよ!って思いましたし、その後のゼットンの涙にも共感しちゃいました(笑)。

『WORST』の話が出ましたが、鉄生以外で、『WORST』ではどのキャラが好きですか?

数原:『WORST』では、拓海の存在が「ズルい!」と思いました(笑)。あんなにかっこよくて、穏やかで、強くて。しかもレギュラーですからね。特に好きなのは花に武装のライダースを見せるシーンです。本当に素直にかっこいい。梅星一家でも、鈴蘭連中の爆走を静かに見守りつつ、肝心な時には連絡をしたり。武装に入っても同じですよね。水面下で動いて、気づかないうちにことを収める役回り。女性にモテそうなのもいいですよね(笑)。『クローズ』でも高梨修がいましたけど、レギュラーとは言えないですからね。

いやー、これだけ作品について語れるってことは、ライフスタイルに少なからずの影響も受けたんじゃないですか?

数原:服装はそれなりに影響受けました。ブーツを履いてみたり、ライダース着てみたり。いまでもライダースは好きですし。スカジャンも着てましたね。冬場とかにハーレーに乗って革ジャン着ている人を見かけると「あの人も『クローズ』とか読んでるんだろうなぁ」なんて、勝手に思ってます(笑)。僕は引っ越しの時とか区切りのタイミングで、自分の荷物を実家に送ったりするんですが、いろんなものを送る中でも絶対に送らないのが『クローズ』と『WORST』の単行本なんです。そういう意味では、生活必需品ですね(笑)。スマホでも見れますけど、やっぱり紙と向き合って、きちんと読みますから(笑)。

作品についての最後の質問になりますが、もし数原さんがこの世界で生きているとしら、どの集団に所属したいですか?

数原:武装ですね。絶対武装です。中でも六代目ですね。鉄生の背中を見たかったです。ヘッドを殴る副ヘッド・清広もいますしね。学校チームと違って、みんな働いているせいか一本筋が通ってる気もしますし。そういうところで男を磨きたかったですね。もし僕も映画とかに出る機会を頂けたなら……あまり演技はやらないんですけど、この作品ならやりたいですね!

鉄生でオファーが来たらヤバイですね。

数原:顔に傷作るところから始めたいと思います! メイクとかじゃなくて、ガチのヤツ。

ホントですか! その意気込みの方がヤバイです(笑)。今日はありがとうございました。最後に、読者と髙橋先生にメッセージをお願いたします。

数原:30周年……僕の人生よりも長い歴史のある作品です。僕もそうですが、これから生まれてくる世代も含めて時代を越えて読まれ続ける作品だと思います。若い世代には、作品に描かれている時代の空気とかも含めて、楽しんで欲しいですね。スマホのコミュニケーションだけでは埋められない、仲間だとか絆だとか、そういう大事なものを学べる教科書です。また髙橋先生、僕はこれからもこの作品を、節目節目で読み込むと思います。悩んだ時、壁にぶち当たった時……その時々で新しい何かを発見すると思います。こんな素敵な作品を描いていただき、本当にありがとうございました。

数原龍友

生年月日:
1992年12月28日
出身地:
兵庫県
身長:
170cm
血液型
A型

2012年11月、GENERATIONS from EXILE TRIBE ボーカルとしてメジャーデビュー。2019年10月には「Nostalgie」、2020年3月には「もう一度君と踊りたい」と、ソロ名義として2曲を配信リリースするなど、近年はグループ活動以外でも幅を広げている。また、GENERATIONSとしては11月18日(水)に24枚目のシングル「Loading...」のリリースを控えている。